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エンリケ・フェルナンド
必ず殺してやる。フェリックス・エルネスト!
胸の殆どを覆っていた金属プレートを剝き出しにして、エンリケ・フェルナンドは、強い猿意を抱いていた。
心臓を守る為に、わざわざ手術で埋め込んだプレート。
それが、エンリケの命を救っていた。
衝撃は凄まじく、意識を刈り取られそうになったのだが、それでも、あの不快極まる小僧と、リーゼロッテがイチャイチャしていたのを感じていた。
ずっと、ずっと思っていた女が、あんなくだらない小僧の女になっただと?!
不快にもほどがある!絶対に生かしておかない!
目の前には、集めた軍勢が、計100人いた。
「いいか!これから、学園国家アカデミーを名乗る!不快極まりない奴等の本拠地を占拠!人質全てを犯して!殺せ!フェルナンドの怒りはまだ終わらじ!どんな方法でもいい!あそこの国王一家、生かして帰すな!鏖だ!」
エンリケの怒りに、集まった兵士達は、深い殺意を醸造させていった。
その日、フォート守備隊のガスパールは、観光客の多さに、おや?と思った。
まあ、アカデミーは、中央国家を観光する起点だからな。
特に疑うこともなく、アカデミーへのポートの扉を閉じ、方陣の魔力コンデンサーへ、魔力を注いだ。
守備隊員ガスパール・ミッシャ。元マイルズの傭兵隊の生き残りであるが、平和な10年余りの日々の中で、彼等から匂う、血臭をすっかり忘れていた。
平和なアカデミーに、恐怖の運び手の腕が、今伸びようとしていた。
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