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「ああルフ。その柱をくれる?」
使い魔のエルフに、フェリックスは優しく言った。
「ギャギャ。ギャギャ?」
「うん、柱を立てちゃおう。リーゼロッテには難しいだろうし。ん?」
フェリックスの鼻が、異分子を捉えていた。
「あああ。また――貴方ですか」
目を血走らせた、エンリケが立っていた。
「ああ、ナイフですか?リーゼロッテみたいな」
「――お前、本当に、何なんだ?」
「いえ、100人程度で襲撃したって、うちのメイドには勝てないだろうな。と思っていただけで、まあ、大体匂いで解りました。僕も、貴方を考えなしに攻撃する意志はありません」
ゴミの分際で、何を偉そうに。
「お前――ここで何を?」
「え?ああ、家を作ってます。お父さんに内緒で」
「家だと?王宮住まいのお前が?ブロンズの子供が」
「あああ、やっぱり、そうなるんですね?」
フェリックスの血が、冷たく冷えていった。
「俺に銃は効かん!俺は」
「ああ。心臓を2発撃ったのに、生きていたんですね?まあどうでもよかったんで、生かしておいたんだけど。心臓に、プレート埋め込んでいるね?」
「この家で!リーゼロッテと暮らすだと?!薄汚いブロンズが!」
3発、銃声が轟き、ゆっくりと、エンリケは倒れた。
「同一のポイントに3発。ピンホールですよだたの。でも」
一瞬で、命を刈り取られたエンリケを見下ろし、
「もういいよ。貴方は」
一瞬で、敵を屠る銃の冴え、そして、
心を通わすのをやめた時の台詞まで、父親の血の確かな継承を表していた。
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