婚前旅行は魔王んち

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婚前旅行は魔王んち

 どうせ、深夜まで体はお空きになられないでしょう。  深夜は、今度は(わたくし)が。  どうしよう?どうお伝えすれば。  そう考えていると、自分より頭半分大きい何かが、リーゼロッテを包んだ。  おっぱい鷲掴みをプラスして。 「坊ちゃま。まだ昼日中でございますよ?」 「ごめんごめん。お父さんが学校抜けるとねえ?僕も手持ち無沙汰で」 「御兄弟達もいらっしゃいますのに」 「あー、うん。プリムちゃんは、多分知ってるよ?僕達の愛に満ちた関係は」  手が、ススーっと下に降りていって。  んん♡肉目ちゃんを♡コリュコリュされております♡ 「他に、マリオンとカノンちゃんだね?知っていそうなのは」  ミロードの妹君、プリム様と、イゾルテ様のマリオン様。  それと、ユノ様のカノン様は、意外だった。  お母上同様、人の感情を斟酌するのを不得手としている方と、思っておりました。  リーゼロッテのうなじに顔を突っ込んで、小憎らしい、可愛いエロ王嗣は言った。 「うん♡発情しちゃってるね?あれ?お母さんに会いに行った?」  少し、ドキリといたしました。  匂いの把握からくる、高すぎる洞察力。お父上から引き継いだ特性。それが、(わたくし)のワイルドワンちゃん♡でございます。 「ええ。妃殿下と、午後の喫茶を」 「あああ。お父さん、アリアがいるから、今日は泊まりだと思ってた。そうかあ、あの時みたいだね?僕達の婚前旅行。サウス・フォートに行ったじゃないか」  ボタンを開けられ、幼く、それでいて長い腕が挿し込まれていった。  アカデミーの転移方陣を超えて、僕達は一瞬で、旧南の大陸、サウス・フォートに飛んだ。  サウスフォートは、お父さんの親友である魔王が作った国で、まだ、南の大陸と呼ばれていた頃、リーゼロッテが生まれ育った場所でもあった。  ポートから扉を潜ると、  「アカデミー陛下御一行様」と書かれた看板を持った、国の中枢にいる人が立っていた。 「あああ、どうもすいません。国の執政官たるお方に、このような!」 「構いませぬ。若き王嗣殿下。サウスフォートへようこそ」  義肢がキリキリと鳴って、黒鉄の隻腕執政官、マイルズ・フォートゲルトが、恭しく頭を下げた。 「ご厚情痛み入ります。学王ジョナサン・エルネストが一子、フェリックス・エルネスト、栄えある混世魔王陛下とのご面談に参りました」  その口調に、不審さはなかった。  9歳で、既に社交を自由に行使する、フェリックス王嗣殿下も頭を下げた。  その横で、パートナーの位置にいた、リーゼロッテが見を震わせた。  儀礼として、白いドレスで固めていた彼女の、フワフワで一部が透けたロングスカートの上から、お尻を撫でられていたからだった。  どこまでも科学的な、研究所のような城、それが、混世魔王、要するに伝説の魔王の城、ケーニッヒスフォートだった。  マイルズに先導されながら、色々な話をした。  主に、僕が生まれる前の、お父さんとの思い出話だった。 「まあ、間合いを図っていた私の剣を、容易に切り飛ばされ、これは敵わぬと。その場で降参いたしました」 「ああ、それは多分、魔王が作ったキレテモータだと思いますよ?姉のザックリキッテモータと同じ、オリハルコン製の剣です」 「ははあ。魔王――でございますかー」 「ええー。魔王ですよー」  お互い、実に白々しい言葉の応酬があった。  まあ、僕達はそんな話をしながら、リーゼロッテのお尻をモミモミモミモミモミモミモミモミしながら、玉座の間の隣の、小さい隠し扉の前に立った。 「相変わらずですか?陛下は」 「左様。困ったもんです」  マイルズさんが、溜め息混じりに扉を開いた。 「ちょっと待て!今エアーマンをだな!ふはははははは!リーフシールドを食らえええええええ!ふはは瞬殺!」  マイルズさんが、なお深い溜め息を吐いた。  僕も、異世界の技術を盗用し、俺強ええええ!している相手に、溜め息を吐いた。 「あん?何だ。勇者の息子ではないか。マイルズ!小僧にお菓子だ!小僧が食うものは決まっているからな!コアラだ!コアラのあれを持って来い!」 「相変わらずですね?混世魔王――いえ、魔王」  サウスフォート国王、混世魔王は、僕がよく知るお父さんの親友、伝説の魔王だった。
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