6人が本棚に入れています
本棚に追加
婚前旅行は魔王んち
どうせ、深夜まで体はお空きになられないでしょう。
深夜は、今度は私が。
どうしよう?どうお伝えすれば。
そう考えていると、自分より頭半分大きい何かが、リーゼロッテを包んだ。
おっぱい鷲掴みをプラスして。
「坊ちゃま。まだ昼日中でございますよ?」
「ごめんごめん。お父さんが学校抜けるとねえ?僕も手持ち無沙汰で」
「御兄弟達もいらっしゃいますのに」
「あー、うん。プリムちゃんは、多分知ってるよ?僕達の愛に満ちた関係は」
手が、ススーっと下に降りていって。
んん♡肉目ちゃんを♡コリュコリュされております♡
「他に、マリオンとカノンちゃんだね?知っていそうなのは」
ミロードの妹君、プリム様と、イゾルテ様のマリオン様。
それと、ユノ様のカノン様は、意外だった。
お母上同様、人の感情を斟酌するのを不得手としている方と、思っておりました。
リーゼロッテのうなじに顔を突っ込んで、小憎らしい、可愛いエロ王嗣は言った。
「うん♡発情しちゃってるね?あれ?お母さんに会いに行った?」
少し、ドキリといたしました。
匂いの把握からくる、高すぎる洞察力。お父上から引き継いだ特性。それが、私のワイルドワンちゃん♡でございます。
「ええ。妃殿下と、午後の喫茶を」
「あああ。お父さん、アリアがいるから、今日は泊まりだと思ってた。そうかあ、あの時みたいだね?僕達の婚前旅行。サウス・フォートに行ったじゃないか」
ボタンを開けられ、幼く、それでいて長い腕が挿し込まれていった。
アカデミーの転移方陣を超えて、僕達は一瞬で、旧南の大陸、サウス・フォートに飛んだ。
サウスフォートは、お父さんの親友である魔王が作った国で、まだ、南の大陸と呼ばれていた頃、リーゼロッテが生まれ育った場所でもあった。
ポートから扉を潜ると、
「アカデミー陛下御一行様」と書かれた看板を持った、国の中枢にいる人が立っていた。
「あああ、どうもすいません。国の執政官たるお方に、このような!」
「構いませぬ。若き王嗣殿下。サウスフォートへようこそ」
義肢がキリキリと鳴って、黒鉄の隻腕執政官、マイルズ・フォートゲルトが、恭しく頭を下げた。
「ご厚情痛み入ります。学王ジョナサン・エルネストが一子、フェリックス・エルネスト、栄えある混世魔王陛下とのご面談に参りました」
その口調に、不審さはなかった。
9歳で、既に社交を自由に行使する、フェリックス王嗣殿下も頭を下げた。
その横で、パートナーの位置にいた、リーゼロッテが身を震わせた。
儀礼として、白いドレスで固めていた彼女の、フワフワで一部が透けたロングスカートの上から、お尻を撫でられていたからだった。
どこまでも科学的な、研究所のような城、それが、混世魔王、要するに伝説の魔王の城、ケーニッヒスフォートだった。
マイルズに先導されながら、色々な話をした。
主に、僕が生まれる前の、お父さんとの思い出話だった。
「まあ、間合いを図っていた私の剣を、容易に切り飛ばされ、これは敵わぬと。その場で降参いたしました」
「ああ、それは多分、魔王が作ったキレテモータだと思いますよ?姉のザックリキッテモータと同じ、オリハルコン製の剣です」
「ははあ。魔王――でございますかー」
「ええー。魔王ですよー」
お互い、実に白々しい言葉の応酬があった。
まあ、僕達はそんな話をしながら、リーゼロッテのお尻をモミモミモミモミモミモミモミモミしながら、玉座の間の隣の、小さい隠し扉の前に立った。
「相変わらずですか?陛下は」
「左様。困ったもんです」
マイルズさんが、溜め息混じりに扉を開いた。
「ちょっと待て!今エアーマンをだな!ふはははははは!リーフシールドを食らえええええええ!ふはは瞬殺!」
マイルズさんが、なお深い溜め息を吐いた。
僕も、異世界の技術を盗用し、俺強ええええ!している相手に、溜め息を吐いた。
「あん?何だ。勇者の息子ではないか。マイルズ!小僧にお菓子だ!小僧が食うものは決まっているからな!コアラだ!コアラのあれを持って来い!」
「相変わらずですね?混世魔王――いえ、魔王」
サウスフォート国王、混世魔王は、僕がよく知るお父さんの親友、伝説の魔王だった。
最初のコメントを投稿しよう!