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インスタントカメラだった。僕が目を見張っているのがおかしいか男は肩を揺すって小さく笑った。
やがて、できあがった写真を僕によこした。「ほらよ」
手にすると、僕の膝から上の、身を固くした姿が写っていた。
ピンボケなのが微妙である。顔を上げると、男はなお愉快そうにタバコを吹かした。
「お前、これから何しに行くんだ?」
僕が麓近くのコンビニに買い出しに行くのだと話すと、誰のことなのか分からないが「ばっか野郎だなー」と男は呻くようにいった。
「オレの軽トラ貸してやるよ」といってキーを僕の手に握らせ、遠慮するそぶりをすると背中をぽんぽんと叩いた。
「こういうときは、ありがとうつって使えばいいんだよ」
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