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下手に逆らって好意を断ると何されるか分からないので、僕はやむなくそばの軽トラックに乗り込んだ。
男が呼び掛けるように手を上げた。「おーう、マニュアルだけど、お前、行けるか?」
頷いてみせると「これで十分は時間稼げるし楽だろ」といって男は少し得意そうにした。
僕はブレーキペダルを踏みつけて始動させると、重力に任せて坂を下っていった。
コンビニで用を済ませ引き返すと、男は先ほどと同じように石段のところにいた。
キーを返す。「ありがとうございました。助かりました」「だろ?」
僕がもう一度頭を下げ、荷物を両手で抱えて背を向け元来た道を登っていった。
「おい、お前」その声に驚いて振り向くと、男がカメラを手に後ろをついてきていた。
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