お会いしたくて仕方がないのです

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 よく見ると綺麗に張り合わせてはあるが、一部分剥がれていて、元の布地が見えている。  そういえば内側が妙に凸凹していると思い、荷物を取り出し丁寧に内側の布張りを剥がすと、10枚ほどの金貨が隠されていた。 「まぁぁ、これは一体……」とおばあちゃんは絶句する。 「もしかして、キャシャラルドお姉様が……」  確かにお姉様は「家出する時にでも使いなさい」と言っていた。  私が何らかの事情で王宮を追い出された時の事を想定して、押し付ける形で託してくれていた?  常に母に忠実なメイドや下女がいる王宮で、周囲の目があるから直接は言えないし手紙を残すことも出来ない。お姉様なりの私への愛情がここに隠されていた。  日頃からお姉様は何かと強い口調で私に突っかかってきていたが、思えばそれはひとりぼっちの私を気にかけての事だったのかもしれない。  17歳をやり直ししないと、それに気付けなかった。  お姉様に会いたい。お会いして、お礼が言いたい。  ユーヴァルト国内ではそれは叶わないので、せめてお姉様がお嫁入りした時にいつか訪問したい。  涙する私をおばあちゃんは優しく抱きしめてくれた。 「それにしても…奮発したわね、キャシー様。私が王宮を去る時にお給金とは別に王宮から餞別として金貨5枚を与えられたけど、それでここまでの旅費とこの実家の改装費を引いても2年間楽に暮らせたわよ。これはハージュ様のもしもの時に使ってくださいね」と、内側の布を張り合わせる。  そうね、自由を謳歌したければ、まずは働かなきゃ。自分で得た収入で生活してこそ、自分の足で立って生きている実感が持てるのだろう。 「おばあちゃん。これから1年間よろしくお願いします」
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