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毎度、バレていないかヒヤヒヤです
お兄様とラウル様にお会いして1週間後の晴れた朝、お二人がまたウチを訪ねてきた。
「今日はまた別の依頼だ」と笑顔のお兄様。
「ラウルがな、レース編みに時間がかかるのなら、その間に別のプレゼントを渡したいっていうからその相談に来たんだ」
そのようなこと、豪華な花でも準備してください。
「それは素敵ですね」と笑顔で返す私。
「そして、何故私にご相談を?」
「先週、何を作るかでハージュが中々良い提案をしてくれただろう。やっぱり女性の事は女性がよく分かっていると思ってな」
この『ハージュ』は平民である今の私の事。
だけどお兄様に『ハージュ』と呼ばれるのは…何年振りなのでしょうね。
先週のあの後、レース編みといってもどのような物を製作するかを相談して決めていた。
その時、前の私が結婚した頃にプライザ王国で流行り出していた『細長い首巻き』の事を思い出したので、それを提案してしまった。
義弟のロバートが、野暮ったい私を見るに見かねて王室御用達の仕立て屋を呼んだ際に勧められた品だ。
当時流行っていたのは幅10cm全長2mほどの長さのものだが、プレゼントする品の長さはおばあちゃんの進行具合次第にすればいい。
さっさと決めて、早くお帰り願いたかったのもあるけど、女性への贈り物を考えるという事が楽しくて、ついつい口を挟んでしまった。
だからと言って、またお兄様まで来るなんて……お暇なのですか?
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