毎度、バレていないかヒヤヒヤです

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 そしてお兄様に言われるまま3人で街へ繰り出し、プレゼントを選び購入した。小さな花束と可愛い茶菓子だ。  付き合ったお礼として、私の仕事である高齢者の方の訪問やお使いなどの頼まれごとを手伝ってくれた。  それから何かと毎週のようにやって来るお兄様とラウル様。 「進捗状況はどうだ?今日は美味いクッキーが手に入ったからどうかと思ってな」 「昨日は酷い風と雨だったらしいな。家の修繕が必要だったら、ラウルがやってくれるぞ」  本当に何かを手伝ってくれるのはラウル様だけで、王子様であるお兄様はそばで優雅に紅茶を飲みながら「ハージュはどんな花が好きなんだ?」など、雑談をしてくる。本当に暇なの? 「ラウル様、助かります。屋根の修繕までしてくださるなんて……」  裏の家の方が雨漏りするとの事で、ラウル様自ら状況を確認して修繕してくださったのだ。 「いや、昔からこういうことが好きでね。裏庭に秘密基地なんかも自分で作ったりしていたよ」とキラキラした瞳で話すラウル様。  始終冷たい態度だった夫、ルドルフとは全然違う雰囲気。  夫は同じ黒髪だが色白で華奢で……確か整ったお顔だったと思うけど、もう曖昧にしか覚えていない。  だって、まともにお顔を拝見したのは結婚式の時だけですもの。  見下したような眼差しでの誓いのキスの時。  加護を与える時は、相手は顔を伏せているので髪しか見えない。  そういえば私は王宮で美男美女を見慣れていたから気がつかなかったけど、ラウル様もなかなかの男前だ。  サラサラの黒髪、切れ長の目、整った唇、焼けた肌、たくましい体つき。  どことなくラウル様が全然違うはずの夫に似ている気がするのは、私の心臓が打つ音に対する罪悪感からなのだろうか。  そう、私はラウル様に惹かれつつあることを自覚している。  今、誰かを好きになっても無駄なのだとわかっている。  今、意中の方がみえるラウル様を好きになっても無意味なのだとわかっている。  だから私はこの気持ちが大きくなってしまう前に、あえて聞くの。 「ラウル様。先日贈ったプレゼントは、お相手の方にお気に召していただけましたか?」 「あぁ、非常に喜んでいたらしい。ありがとう」と笑顔のラウル様。  ほらね、この想いは無駄なのよ。  そう自分に言い聞かせながらもズキン、と痛む胸を認めないわけにいかなかった。
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