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ふと、アクセサリーを出品している露店の商品が目についた。
この場所に珍しい、素敵なデザインの物が豊富だ。
あ、キャシャラルドお姉様に似合いそう。
お姉様の金髪に映えそうな深いエメラルドグリーンの石があしらわれた、少し豪華な大ぶりのイヤリング。
魔法石の『大地の祈り』では無さそうだけど、とっても素敵。
「それ、良いな」とラウル様。
私が見とれてしまっていた事に気付いたようだ。
そうだ、ラウル様の意中の方へのプレゼントも選ばなくてはいけなかったのだ。
―――急に現実に戻された気分。
「ラウル様のお相手の方の髪色は何色なのですか?」
「金髪だ。こういった派手な物を好むが……」そう言ってラウル様は店主と何やら相談を始めた。
お相手の方、金髪なんだ。
王族は皆金髪だけど、貴族にも平民にも多くはないが金髪はいる。
このイヤリングが似合う方なら、お姉様のようにもの凄い美人なのだろう。
そうだ、お姉様から戴いた金貨はどうしよう。
生活費や家の修繕費にと1枚だけ使わせていただいたけど、王宮へ戻ったらやはり残りはお返しするべきよね。
でも戻る頃にはお姉様は他国へお嫁入りしているはず。今時分に決まって、お父様が早々に嫁がせた。
あぁ、お兄様にお願いしてお返しすればよかったかな。いえ、やっぱり自分でお礼が言いたい。
「お待たせ」
考え込む私の背後から、ラウル様が声をかけた。
「あ、はい。購入されたのですか?」
ラウル様の持つ荷物が増えていた。
「あぁ。良いものが購入出来たよ。ありがとう」ラウル様が優しいお顔で微笑む。
ちくり、と胸に何かが刺さる。
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