困ります。期待、してしまいます

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困ります。期待、してしまいます

 私は今日もラウル様からいただいたイヤリングを付け、鏡の前でニヤニヤする。  イヤリングをしている間は常にラウル様を感じられて、幸せいっぱいだ。  あの日から毎週水曜日の午後に、ラウル様はやって来るようになった。  おばあちゃんの作業の進捗状況を簡単に確認し、私の仕事を手伝ってくださって、お茶をして帰っていく。 「やっぱりそのイヤリング、よく似合う」  そう微笑むラウル様に私はきゅんとなって、しゅんとなる。  だって私の本当の髪色は黒褐色ではなく、金髪。  金髪ではこのオレンジ色の石が目立たなくなってしまう。 「ダメですよ、女性にそんな甘い言葉を囁いては。相手に惚れられちゃったらどうするのですか」と意地悪く言うと、 「ははっ。心しておくよ」と屈託のない笑顔を見せる。  いや、全然わかっていないでしょう……。  毎週お会いできるのは、正直嬉しい。  私に会いに来てくださっているのかと勘違いしてしまう。  期待しちゃ、ダメ。  これは私が勝手にときめいているだけ。多くを望んではいけない。  ラウル様にこの想いを気付かれてはいけない。  気付かれたら、きっともうお会いできなくなる。  ラウル様がみえるたびそう自分に言い聞かせる私は、王女らしからぬ浅ましい女です。  
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