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それからすぐに私はプライザ王国へ入国し、国王様や第二王子であるロバートにご挨拶したものの、夫であるルドルフとは会えないままでいた。
新領地の仕事が忙しいとの事だが、本当なのだろうか。
「初めまして、ハージュリア様。私は第二王子のロバートと申します。やっとお会いできましたね。いや、これほどお綺麗な方だとは思いませんでした」とにこやかに話しかけてきた。
おぉ、ロバートが若い。
「ありがとうございます。これからよろしくお願いします」と礼をする。
「実は、私も貴方に求婚していたのですよ」
え?そうだったの?
そういえば父が『相手は第一王子もしくは第二王子』と曖昧にしていた。
「何度かユーヴァルト国へ訪問させていただいたのですが、『リア様は日光アレルギーが酷くてお会いできません』と常に門前払いをされましてね。この様子ですと、もうアレルギーは大丈夫のようですね」
はぁ?日光アレルギー!?
私が不在であることを誤魔化していたのかもしれないが、そんな後から面倒になるような嘘は辞めて欲しかった。
「えぇ、一時的なものだったようで。大変失礼いたしました」と頭を下げる。
「贈り物も幾つかお届けしたのですが……お受け取りいただけましたか?」
贈り物?
私のメイドからそんな報告は受けていない。
「ええと、その頃熱も続いていたので、記憶が曖昧で。ありがとうございます。また祖国に帰った時、メイドに確認しておきますね」
多分きっと、着服されている。
ふと、ラウルのエメラルドグリーンのイヤリングの件を思い出した。
ラウルの件も誤解なのかもしれない。
だけど誤解という事を望まない自分は、酷い人間なのだろうか。
……ダメだよ。その想いは、巾着から出しちゃダメ。
私はポケットに忍ばせた巾着を、服の上からポンポンと叩いた。
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