お先真っ暗な人生、受け入れます

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「ハージュ、ごめん。本当の俺はプライザ王国の第一王子、ルドルフだ。ラウルは幼少期からの愛称だ」  え?だって、私が記憶している夫は色白で、もっと貧弱だった。  確かに似ているとは思ったけど……。 「ハージュがユーヴァルト国王女ハージュリアだという事を、さっきエルマルクから聞いた」  あ、お兄様はラウルの正体をご存じだったのですか。 「こんな事を言っても信じてもらえないと思うけど、俺は実は今人生をやり直しているんだ」 「「えぇぇっ!?」」私だけでなく、ロバートも驚いて叫んだ。  いえ、信じられます!だって私やロバートも同じだもの!  でもとりあえず、話を聞くことにしよう。 「62歳で一度死に、気がついたら10歳だった。何故そんな事になったのか全く心当たりはなかったが」  10歳!?今、夫は21歳のはずだから11年前からやり直しを始めていたという事か。  夫までクロリャ魔法国の毒を服用したわけではないよね?  夫が亡くなった原因は確か、魔物討伐の際の大怪我。 「前の人生では楽しめなかったことを目一杯した。この温室だってそうだ。体力や筋肉を付ける事も必要だったと思い、身体を鍛えた。それと同時に、前の人生で後悔した事を考え直していた」 「後悔って…?」 「自分の正妃の人生を台無しにした事だ。歳を取った頃に自分の行動を見つめ直し後悔していたが、正妃との関係を修復出来ないまま、死に別れた」  正妃って……私の事か。 「最後に交わした言葉なんて最悪だ。彼女の誇りをひどい言葉で傷付けた」 『あなたの加護など、(まじな)い以下だ』  加護石が壊れ、加護を与えられなかった私に言い放った言葉。 「気にしなくて良いと言いたかったのに…上手くいえなかった」  実際、私の加護はそう大した威力を持っていなかっただろう。  だけど今、前の人生で私の事を気に留めて下さっていた事を知れてすごく嬉しい。
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