第二章・恋の発芽は時期外れ 3ー③

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第二章・恋の発芽は時期外れ 3ー③

頭が痛い。 ゆっくりと目を開くと、そこは見た事もない天井だった。 というか、天井全部が鏡だ。 こんな凄い部屋があるのか。 しかし何故、天井が鏡である必要があるのだろうか。 そして、その天井に写る自分の寝ているベッドの横を見ると、大介が煙草をふかしているのが分かった。 「おっ、目、覚めたか?てか、お前、酒弱いな」 「そんな事言ったって、先月二十歳になったとこなのに」 「そうか。そりゃ仕方ないか。でも、他の奴の前で、もう飲むなよ?それこそ、こんな風に連れ込まれるぞ?」 「連れ込まれるって……」 「ラブホに」 「ラブホ……」 しばらく逡順してから、正実は跳ねるようにして飛び起きた。 ベッドに腰掛ける大介は、風呂に入った後なのか、腰にタオルを巻いただけの姿だった。 どうりで、天井が鏡なんていう変な部屋なのかが分かった。 天井だけでなく、壁も鏡がやたら多用されている。 「え?……あっ、……なっ、こっ……」 「面白いように噛むな。お前、完全に寝ちまうから、ホテル選ぶゆとりなんかなくて、近くに飛び込んだんだぞ」 「何でラブホーーー??!!」 「外の公園で寝るには、まだ寒いだろうが」 ふと、自分の体を見ると一糸まとわぬ、いわゆる全裸だった。 当然、自分で脱いだ記憶はない。 「何で俺、裸ーーー??!!」 「何言ってんだよ。お前が『暑い、暑い』って自分で脱ぎ出したんだろ?……無意識か。こりゃ、本当にマズイな。お前、もうマジで外で酒飲むな。絶対に許さん」 「お、俺が脱いだのか~!」 正実は頭を抱えて踞った。 まさか、踊りながら脱いだり、大介に良からぬ事を言いながら脱いだりしてはいないだろうか。 全く記憶がないし、自信もない。 あまりにも片思いの期間が長すぎて、酒が引き金になって壊れてしまっても、おかしくない。 「だ、大介さん……。俺、なんかした?」 「そうだな。色々と楽しませてくれたな。聞きたいか?」 「聞きたくないけど、……聞きたい……」 大介の口が、意地悪くニヤリと吊り上がった。 「部屋に入った途端、お前、覚えてねぇかも知んないけど、暑いって、いきなりストリップしだしたのは良いんだけど、酔っ払い過ぎて自分で脱げないし、可愛らしく俺に「脱がして?」って脱がさすし」 「ひぃぃぃぃぃぃい!」 「風呂に入る~!って、叫んで走ってくから、仕方なく風呂に入れてやったんだけど、シャワー浴びながら寝ちまうし。結局、俺が拭いてやって、寝かしつけたんだよ」 「ぐわぁぁぁぁあ!ごめんなさい~!」 枕に顔を突っ込んで、羞恥に耐える正実を見て、大介は堪らずクスクスと笑った。
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