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第二章・恋の発芽は時期外れ 3ー④
「役得だったけどな。正実の裸見れたし」
「はだっ、はだっ、裸?!」
「お前、思ったより筋肉ついてるな。ああ、そう言えばスポーツは好きだっつってたか。しっかり男の体だったし。……それもなかなかエロい」
「えっ、えっ、エロい?!」
「そのエロい体、誰かに見せたりしてねぇだろうな」
誰かに見せた記憶も、予定もない。
とにかく大介一筋の人生だったので、問答無用にまっさらだ。
「な、何でそんな事、聞くんだよ。いくら男同士でも、恥ずかし過ぎだろっ」
「そりゃ、お前、惚れてる相手に恋人がいたらマズイだろ?」
大介は、今、何と言ったのだろう。
耳が腐ったのかも知れない。
おかしな日本語に変換されて、聞こえてくる。
もしくは、まだ寝ていて、夢を見ているのだろうか。
正実は、自らの頬っぺたをギューッと、捻り上げた。
「オイオイ。せっかく可愛い顔してんのに、そっちだけ顔が腫れるだろ?そんなに引っ張ったら」
「ほ、惚れてるって……」
「お前に決まってんじゃん。お前に小学生の時から惚れてたんだぞ?俺を少年好きの変態にしちまった責任を取れ」
「へっ、変態ーーー!!!」
「叫ぶな。傷付くだろ」
大介は、スルリと正実の横に滑り込んだ。
そして、正実の裸の腰をグイッと引き寄せた。
「で、どうなんだ?お前、まさかあちこちでこんな事になってないだろうな」
「な、ないよっ」
「今までは?」
「一度もないよっ」
「……初めてか。そりゃ良かった。……ていうか、予想以上に嬉しい」
「だ、大介さんは初めてじゃないだろっ!どうせ!」
「そりゃ、お前、三十路の男が童貞の筈はないだろう。それでも、初めての相手が飛んでもない女だったから、あんまり女が好きになれなくて、俺、見た目程に遊んでねぇぞ?」
「あ……若いお母さんに……」
「そうそう。可哀想に弄ばれたんだよな。あの後もお前を忘れようとして、3人位、結婚を前提に考えて付き合ってみたけど、やっぱり基本的に俺は女がダメみたいだ」
確かに大介程の美貌なら、女と遊ぼうと思えば引く手あまたの筈だ。
結婚を前提にしないと付き合わない辺り、大介の身持ちの固さを感じた。
「お前は、どうなんだよ。俺の事、どう思ってる?……あ、『お兄さんのお友達』って答えはいらないから」
「すっ、好きっ……だよっ!」
「だよな?……まぁ、知ってたけど」
「知ってたの?!」
「お前、俺が何しても、顔真っ赤にするし。吉野とか原田には普通なのに」
そんなに昔からあからさまだったのかと思うと、今更ながらに赤面する。
正実は恥ずかしさのあまりに、両手で顔を覆ってしまった。
「ヤベェ。マジで可愛い……。もう、めちゃめちゃ好きで、堪んねぇ」
「え?……あ、あ、あ、……んぅっ!」
正実は、腰と後ろ首をガッチリとホールドされて。
気が付けば、その唇を奪われていた。
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