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第三章・愛しのCherry 3ー①
その後、大介の尽きる事のない欲望に翻弄され、正実自身も何度達したか分からなくなり。
何度か意識が遠退き、また快楽によって覚醒させられ手を繰り返した。
それでも大介は離してはくれず、やがて完全に意識が途絶えてしまう。
翌日、正実は目を覚ました後もベッドの住人と化していた。
あの後、腰が抜けてしまい、まるで動けなくなってしまった。
食事もベッドに運んで貰い、トイレも抱えて連れて行って貰うような酷い有り様だ。
「俺、初めてだったのに!ヤりまくって立てなくなるまで、エッチするとか!分別ある大人がする事じゃないと思うんだけど!」
「すまん。余りにも拗らせ年数が長すぎて、止まらなかったというか、まだ、出来そうというか」
「あんた!そんなに絶倫って獣か?本当に人間か?!前から、こんなか?!」
「いや。こんな新たな自分は、史上初だよ。ここまで果てしない性欲は、正実だけに発揮されるんで、正実のエロフェロモンは神がかっていると思う」
「何それ?まさか俺?!俺のせいかよっ」
「今のお前の格好も堪らん……。いや、俺が貸したんだけど」
正実は、大介のブカブカなワイシャツをけだるそうに着ている『彼シャツ』状態だった。
思わず、裾をチラリと捲って「来て?」なんて大介に言おうものなら、すぐに喜び勇んで襲って来そうだ。
恐ろしくて、とてもではないが冗談でも絶対に言えなかった。
その日は、ひたすらベッドで横になり、ダラダラと一日を過ごした。
大介は甲斐甲斐しく正実の世話を焼き、それはもう嬉しそうだ。
ふと、大介の顎を見ると、うっすらと髭が生えているのが見えて、大学生の頃の大介は無精髭を生やしていたのを思い出した。
「そういえば、大介さん。昔はヒゲが生えてて、本当に『ルパン三世』の次元大介みたいだったなぁ」
「お前に会ったらもう一度、聞こうと思ってたんだ。俺、ヒゲがあった方が良いか?ない方が良いか?」
「仕事、ヒゲは大丈夫なの?」
「ロン毛が許されんだぞ?ヒゲ位増えても大した事ねぇよ」
「……じゃあ、また、ヒゲのある大介さんが見てみたいかな?」
「了解。伸ばしてみるわ」
正実は、大介の首に腕を絡ませてキスをした。
そのキスは、徐々に、徐々に、激しくなっていって、大介の手が正実のシャツを捲って潜り込んで来たので、急いで顔を退けた。
「自粛っ!」
「すいません!」
「反省しろっ!」
「何日反省したら、次は いつセックスさせてくれんだ?」
「反省する前から、次の予定かよっ?!」
正実は枕で、大介をバシバシと殴りまくった。
ホコリが舞うから止めてくれ、と大介が枕を取り上げると、玄関のインターフォンが鳴る。
夕食にデリバリーのピザを時間指定して頼んでいたが、それが届くには少し早い時間だった。
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