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「お姉ちゃん……」
「うん〜……あと15分……」
「お姉ちゃん!」
「わっ!」
美咲は自身に呼びかけられた声で目を覚ました。
見たことない少年が自分を呼んでいただけでも驚愕するところだがすぐ別の異変に気づく。
家で寝ていた筈なのに……自分の学校の校舎にいたのである。
ご丁寧に服装も寝間着ではなく制服になっていた。
「どうなってんの……?。って言うか君は誰?」
「僕。長谷川一樹。気がついたらここにいたんだ……」
「そうなんだ……あ、私は篠原美咲。宜しくね一樹君」
「うん!。宜しく美咲お姉ちゃん」
―――――何か、歯痒いな……。
ポリポリと頭をかく。
「でも本当にこの世界はなんなんだろうね。夢かと思ったけど。このコンクリートに立つ感覚は本物だし……夢にしては風当たりとかがリアル過ぎるよ」
「うん……。ぼく……お父さんとお母さんと寝てたのに……なんでこんな場所に………うぅ……ひっぐ……」
「一樹君。男なら泣かないの!。そんなんじゃ可愛い女の子寄って来ないよ!」
美咲は一樹の頭を優しく撫でた。
サラサラだ……きっと彼のお母さんが入念に手入れしてくれているのだろう。
「ご…めんなさい………」
「よしよし」
暫く美咲は抱き締めながら一樹をあやしてあげると彼は落ち着いたのか、泣き止んだ。
「美咲お姉ちゃん。ありがとう。もう大丈夫」
「よし良かった。それじゃとりあえず……この異世界(?)から抜け出す方法を考えようか」
「うん……」
美咲と一樹が屋上の扉を開け、校内に入ろうとすると
『アッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!』
と言う甲高い女の声が扉の向こうから聞こえた……。
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