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「なに今の声……?」
「お、女の人の笑い声みたいだね……」
幼い一樹は言わずもがな、16年生きた美咲もこんなとち狂ったような笑い声は初めて聞いた。
恐怖が二人の進みを止めるが校内に入らなければ先に進めない。
他に道はないのだ。
音の聞こえ方からして扉のすぐ近くにいるわけではなさそうである。
「一樹君……怖いかも知れないけど他に道はない。私の後ろについてきて」
「う、うん…」
美咲は恐る恐る扉を開けると……見慣れた自分の高校の廊下が広がっていた……。
「大丈夫そうね……行くよ」
怖いのか声を出さずコクリと一樹は首を動かした。
また開いた扉を恐る恐る美咲は閉め、ある場所を目指す。
家庭科室だ。
あそこなら簡易的な武器が手に入る。
このまま出口を目指しても良いが……何も武器がない状態で狂ってる人間と出くわしたら危険なのは言うまでもない……。
『あはは!。ざまあみなさい健治!』
……先程より女性の声が近くなっている。
なるべく音を出さず二人は校内を静かに歩く。
聞こえるのは気でも違えたかのような女性の叫び声だけだった。
『ぁはははは!ここは地獄かしら!それとも天国!?。あいつを殺したのは私だけどあんな奴死んで当然なのよぉ!』
「やば……完全なヒスじゃん……」
「こ、怖いよ…」
「大丈夫。私がついてる。もう少しで家庭科室だからそこまで頑張ろう」
「うん……!」
『良いわ!この世界が私の為に与えられたなら私は私の成すべき事をしてやる!ハハハハハハハハッ!』
「ヒス女め……!」
忌々しく言いながら家庭科室へと二人は辿り着いた。
まだこの高校もとい世界からの脱出は終わっていない……。
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