愛だよ

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愛だよ

 ツインとジェミニ、二人の自殺は、すぐに魔法族皆に知れ渡った。  詳しいことは語られなかったが、ジェミニのせいでツインが自殺したこと、そしてジェミニが後追いのように死んだことか皆の知るところとなった。  もちろん、ロミオ達、魔法族男子達にもだ。 「俺に埋葬させてほしい」  ロミオはそう頼んだが、魔法族の重役達は首を縦に振らなかった。 「俺がちゃんと、話を聞いてやれば良かったんだ。あの子達は、二人で悩みも全部共有して、そして二人で全部抱えこんでいたんだ。もっとちゃんとしてやれば……」  ロミオは頭を抱えて座り込んだ。そんなロミオをロミオより年上の男たちが優しく慰めた。 「お前のせいじゃない。あの子達は私達と違う育てられ方をしたんだ。お前の手に負える問題じゃない」 「俺たちには何もできやしなかった」  そんな中、オセロだけはボソリと言った。 「違う」  オセロの言葉を、リヤだけが聞いた。 「違う?」 「ああ。ジェミニが、ツインが自殺するようなことをするなんて。ありえないだろ」 「あー、でも、いざ自分が死ぬとなったらヤケをおこしてしまったのかもしれないですよ」 「違う。ジェミニはそんなことしない」  オセロは言い切る。  ――――  あの日、飛ばせてくれると約束した日、あとでジェミニはコッソリとオセロのところに来て言ったのだ。 「ごめんね、オセロは飛ばせてあげれないんだ」 「はっ?なんで?」 「意地悪じゃないんだよ。使えないんだ、オセロに魔法が」 「…どう言うこと?」  オセロが尋ねると、ジェミニは恥ずかしそうに肩をすくめながら答えた。 「実は、僕の魔法は、ツインへの想いがエネルギー源なんだ」 「想い?」 「愛だよ」  ジェミニはそう自分で言ったくせに真っ赤になる。そんなジェミニを見て、オセロもつられて真っ赤になった。 「えっと、つまり…」 「ツインの為にとか、ツインを喜ばせたいとか、その気持ちが無いと、魔法は使えないんだ。さっきはじめに飛ばせてあげるって言ったのも、ツインがやってあげなって言ったからなんだ。だからできるかと思ったんだけど、多分やっぱり無理そうなんだ」  確かに、思い出してみれば、ジェミニは自分の為に魔法を使ったことがない。その上、魔法が使えるなら必要の無い技術、家事や狩猟技術なども積極的に勉強している。 「だから、何度俺が頼んでも飛んでくれなかったのか」 「ごめんね、そしてこのことは誰にも秘密だよ。もちろんツインにも」 「……分かった」  オセロは頷く。そして同時にジェミニとツインが羨ましくてたまらなくなった。  愛ってなんだろうか。  魔法が使えない男に、使えてしまうほどの力を与えるものなのか。  オセロには分からなかった。  ―――― 「ジェミニがする事は、いつだってツインの為なんだ」  オセロはきっぱりとそう呟いた。
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