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あの日
ある魔法族は、きっかり5年に一人だけ男子が産まれる。
男子は魔法が使えない。魔法が使えるのは女子のみで、彼女らが魔女と呼ばれている。
男子は、産まれたら健康で丈夫な事を第一に、大切に、とてもとても大事に、育てられる。
そして18歳になったら女性と性交渉を始める。そしてその後は性交渉だけを仕事にして生きていく。
そう、魔法族にとって、男子は子孫を増やすためだけに必要な存在だった。
さて、17年前の話をしよう。
17年前、ある一人の魔女が男子を産んだ。
その数時間後、別の魔女も男子を産んだ。
そう、その年、男子が二人生まれたのだ。
5年に一人しか生まれないはずの男子が二人生まれたことは、長い魔法族の歴史の中で初めてだった。
魔女たちはパニックになった。
二人目の男子は、不吉な存在として消し去ってしまおう、つまり殺してしまおうということになった。
しかしそこで待ったがかかる。
本当に不吉な存在は、二人目の男子なのか??
というのも、産まれた一人目の男子は、とても不思議な姿をしていたのだ。
肌と、少ない髪は、透き通るように真っ白。瞳は燃えるような赤色。
黒毛や茶毛で、黒や灰の眼の魔法族にとっては、一人目の男子こそ、不吉な存在に思えたのだ。
そこで魔女たちは折衷案をとった。
「二人共、今は消さない。18歳になった時点で優秀だった方を残そう」
それは、残酷な決断だった。
二人の男子は、自分か相手が、18で消される事を知りながら、生きていくことになったのだ。
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