ゼロ円札

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「最初に断っておきます。脳の病気だというのは嘘です。嘘をついてすみませんでした」  どういうことだ!? 何を言っているか分からない!! 「ええとですね、貴方はゼロ円札を使用限度額まで使い切ってしまいました」 「そんなはずは……まだ寿命はあと八十年あるんだぞ!」 「ええ、ですがそのうち残り六十年は」  医者はメスを取り出した。 「つまりですね、貴方は六十歳までの残り二十年分を使い切ってしまったということです。ですから、今から返済していただきます」 「うわぁ! やめてくれ! 頼む! やめてくれ!!」  額に冷たい感触が触れて、それから横一線に熱さを感じた。 「うわぁああああああ!!!!!! やめろ!!!! やめろ!!!!!!」 「大丈夫ですよ。ほら、そろそろ麻酔が効いてきて、何も感じないようになります」 「いやだ!! 助けてくれ!!!! 助けてくれ!!!!!! 嫌だ!! 死にたくない!! 死にたくない!!!!!! 嫌だ!! 嫌だ!! いや……だ……」  ああ、感覚が、ない。だんだんと、眠く、なって……き……て。 「それでは、お(D I E)をいただきます」
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