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「見ぃてぇ、まぁた学園長あの曲歌ってるよ。あれだけ面倒かけた張本人のくせに呑気なもんだよね」
「まぁ終わり良ければ何とやらなんだから歌わせといてやりゃ良いんだよ。しっかし学園長も好きだなあの曲」
壁に寄りかかって立っていた3年の花巻の同級生の日下部が苦笑いしながら花澤学園長を見ながら言うと、近くに座ってそれを一緒に見ていた花巻は「本人が楽しけりゃ良んじゃね?」と笑いながら返してワイングラスに入っているしゅわしゅわ言ってるシャンパンをごくりと飲んだ。
「ぷはぁ〜っ!何か学園長の家のシャンパン美味くね?やべぇ美味いんだけど!クソ美味だわ!なんだこれ!?飲んだ事ねぇよ、こんなシャンパンよぉ!!」
花巻、何でそれ美味いか俺が教えてやろうか?それはノンアルじゃなく、本物の酒だからだ。
「んん?何か花巻君、めっちゃ甘い葡萄の匂いすんだけど、気のせい?」
「このジュースの匂いじゃん?なんかめっちゃ美味いのよ」
「そうなんだ!誰置いてったジュースか分からないから何かちょっと怪しいから飲むのやめといたんだけど、そんなに美味しいなら俺も飲もうかな?」
飲むな。そんで怪しいと思ってたなら涼しい顔して見てないで花巻が酒飲む前にちゃんと止めといてやれ、馬鹿野郎が。
「皆さんお疲れ様でした!ピザが焼けたそうなのでお持ちしましたよ〜!」
そういやさっきから姿が見えないなと思ってたら台所に居たのか、お前。香ばしい香りが漂うマルゲリータを乗せた皿を持って文香がテーブルの上に皿を並べてるのを黙って見てると「わぁ〜!とても美しいですね!」と季優は“ピザを見て”言った。マルゲリータの飾りが綺麗だったからだ。作ったのはもちろん史子。あいつは料理が上手なんだ。
「きっ、綺麗だなんて…!愛屋君(愛屋→季優の苗字)何言ってるの!?」
「へ?」
季優がポカンとしている。その隣で自分の見た目を褒められたと勘違いしてる文香は真っ赤になって身体をくねくねしながらニヤついている。その顔はまるで茹で蛸のよう。
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