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「おお、ありがとう!野々口(野々口→文香の苗字)も座って一緒に食べよう。ほれ私の隣に座るのじゃ。……話しは戻るがそれにしても海宝は歌が上手じゃのう。習っておるのか?」
「ううん、何にもしてないわよ」
おじゃる口調で喋る古風な見た目の黒髪少女は花畑学園3年の黒羽麗花。
褒められた海宝は花畑学園に通う男子生徒全員の憧れの的、あだ名がマーメイドプリンセス。俺にはどこが良いんだかさっぱり分からないがこの時代の若者男子達はああいう女が好きな子が多いらしい。
「はい、うっそー。絶対ボイストレーニング教室とかに通って練習したんでしょう?嘘吐いても無駄よ」
「でも愛原さんも黒羽さんもとても素敵な歌声でしたわ」
「本当やわぁ〜。聞いとったうちらも惚れ惚れしてしまいましたわぁ。特に夜宮さんの歌声はなんちゅうかこう…妖精はんが歌ってるかのような鈴の音みたいな綺麗な声で聞いとって凄く心地良かったわぁ」
並んでソファーに座って上品に微笑む京都弁を話す少女2人は花屋敷学園の生徒会副会長の2年・花山院と同じ生徒会の3年・姫小松。噂だと花山院は季優が好きらしく、文香をライバル視してるとかなんとか。
「そっ、そうか?自分では良く分からぬがあんまり褒めらると何だか恥ずかしくなってくるのぅ」
2人に褒められて照れてる黒羽を見て「本当にお見事でしたよ黒羽先輩」と花畑学園副会長の2年・眼鏡少女・月雪も微笑んだ。
誰も自分の事に対して何も言ってくれない事に腹が立ったのか負けず嫌いな自称世界一美人のセレブ少女で3年の愛原が「ちょっと貴方達、私の事も褒めなさいよ!!」とついに怒鳴りだした。
いつの時代も女は集まると本当に煩い。……そう言えば周りの騒がしさのせいでついうっかり季優から離れてしまっている間に季優と季優の同級生で花畑学園風紀委員の椿が居なくなっていたが何処に行ったんだろうか?
取り憑いてる相手からあんまり離れると天界に帰る事が出来なくなるらしいような事を俺のサポートをしてくれる事になった香月さんからちょっと前に聞いた事があるからまずいな。そんな事になる前に探しに行かなくては…。
……ーーー2人を探して騒がしいリビングを出て薄暗い廊下を歩いてると1つの扉の前に明かりが見えた。
ここに居るのかな?
そっと覗いたらお酒を飲み過ぎて具合悪くしたらしい花澤学園長の親友の団子屋が 花澤学園長の秘書の虹川ちゃんに背中をさすられながらトイレで嘔吐してたのが見えた。
わ"……。最悪だ、覗かなきゃ良かった。見てたらこっちまで具合悪くなってきた。う"え"……さっさと退出しよう…。
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