背後霊、幽篁幽々子の珍道中

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 「……えー…嘘やん…知らんかったで自分…え、いや、本当、気付けへんて、…ぅわ〜……嘘やん…」 嘘やんって2回も言うなよ。こっちだって初めてあんたの顔見て 嘘やん… って内心土砂降りになってんだから…。 背中に天使の羽、頭の上に金色の輪っかを着けた真っ白なタキシードに身を包んだ同い年くらいの若い男子2人が真紅の薔薇の花束片手に待ち合わせ場所のハートの噴水の前で真っ青になったまま向かい合ってる光景は側から見たら間違いなく怪しいも当然。 「ママぁ、あのお兄ちゃん達カップルに大人気の噴水の前で何してるの?」 「しっ!見ちゃダメっ!」 ほら、言ってる側からこれだもん…。 死因は心筋梗塞。恋愛のレの字にさえ一切触れずに独身のまま88歳で孤独死してしまったから、ちょっと後悔しながらあの世の門をくぐったらまさかの17歳の時の若い姿に戻ってたから調子に乗ってあの世の世界でめいいっぱい生前やり残した事をやりまくって楽しもうとして マッチングアプリと言う名の出会い系サイトに登録したのだが、思ったより早く俺を選んでくれた人が現れたから嬉しさのあまりわっぱか会う約束をして今日に至るわけで… 「幽篁(ゆうこく)幽々子(ゆゆこ)って、名前だけ見たら完璧女の子としか思えへんに決まっとるやんけ!それが何で男なんじゃ!?」 「プロフィールにはちゃんと男性で登録してあるんですけど…」 「えっ嘘!?本当(ほんま)か!?」 「本当(ほんま)本当(ほんま)」 頷くと、何歳で死んだかは分からないが生前間違いなく関西人だったと思われる 香月(かづき)小春(こはる)と言う 何だかちょっと名前が宝塚っぽい男は慌てて自分の携帯で確認するなり「あっ!本当(ほんま)や!」と目を丸くし大声をあげた。
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