背後霊、幽篁幽々子の珍道中

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わっ!と香月さんが豪快にすっ転んだ。 そして香月さんの方からカチッと何かのスイッチの音みたいな音が聞こえてきた。 香月さんが「やべっ!しまった!」と真っ青になった。 何が やべっ! なのかは分からないが逃げるなら今がチャンスだ! 他人が転んだ事を見て見ぬフリをするのは何だかちょっと心が痛むが あいにく今の俺は幽霊であるからして怖い物なんて今は何にもない、何処にもない、どんなに叩いたって出てこない。 「ゆゆ 待てって!」 知らん知らん。香月さんの声なんて聞こえない。 「あんたはんに謝らなあかん事があんねん!」 聞こえない、聞こえない。無視だ無視。 「俺なぁ、俺、今やらかしてもうたんや!転んだ時にあんたはんの背後霊スイッチ押してもうたんやーっ!!」 ……は?今何て? 逃げるために走っていた足が止まった。いや、正確には急に足がふわっとなって思うように動かなくなった。
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