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「竜神様、今日も無事に過ごせましたこと、御礼申し上げます」
屋敷のすぐ前を流れる竜ノ川のほとりの小さな祠。
祖母は毎日掃除し、一日に何度も手を合わせていた。
暑い日も、寒い日も、雨の日も、雪の日も。
『水緒、ずっと一緒にいたい。永遠に』
そう言っていたのは誰だっただろうか?
祖母が祠の掃除をしている間、近くにいた人。
覚えているのは着物を着ていたことと、銀色の何か細いものがあったこと。
顔は全く思い出せず、何歳くらいのどんな人だったかも記憶にない。
「祠は絶対に壊してはいけないよ」
病気で亡くなった祖母の最後の言葉は、家族のことではなく祠のことだった。
当時、私はまだ7歳。
祖母の行動も意味もわからないまま、すぐに母まで流行り病で亡くなり、その後は着物の男性に会うこともないまま、あっという間に10年が過ぎた。
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