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 父は神主に。  水緒の従兄弟が神主を継ぐことが決まっている。  竜穴だと言われた祠があった場所には新しい祠と石碑が置かれ、この街を救った竜神と水緒の物語が刻まれた。    二人は祝言のあと、人々の前に姿を見せることはなかった。  だが、輝く川と美しい桜並木を毎年楽しむたびに、街の人々は竜神様と水緒が仲良く過ごしているおかげだと、神社に感謝を述べに訪れた。  神社はいつの間にか「水緒神社」と呼ばれるように。   「……自分の名前の神社だなんて、なんだか恥ずかしい」 「水緒神社は竜ノ川のほとりから移してはならぬと神主に告げておこう」  こうやって先祖代々伝わっていくのかと水緒はクスクス笑った。 「水緒、永遠に我とともに」 「はい。竜神様」  いつまでも二人で――。  そして今年も見事な桜が咲き乱れる。  川と神社と桜と石碑。境内にはなぜか桃の木まで。  遠くには山がそびえたち、空は綺麗な青空が広がる。  この先もずっと二人の仲が良い限り――。 END
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