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(あの手の女の子にはそんなに興味は湧かんなあ)
そうは思っているが、視線が向いたままでなぜかほかに移せられない。ぼーっと視界に入れていると、彼女が交差点を渡り切る。
(同じ大学の人なんやろうか)
そんなことを考えて眺めていると、彼女が一瞬こちらを見たような気がした。いや、目が合ってしまった。そんな気がして、体が不意に固まる。
そのまま彼女は大学の方へと、変わらず軽い足取りで坂道を上っていった。
信号が赤から青へと変わり、その瞬間足が前へと反射的に進み始めた。
(誰だったんやろう……)
その疑問を抱えたまま、俺も坂を上り始める。
ようやく涼しくなってきたからまだマシだが、ついこの間までは大学に到着するころには汗だくになっていた。これだけ涼しくなっても額に少し汗をにじませる。そしてキャンパスの南側の入り口に到着。そこからキャンパス内では少し古めの建物を目指して歩く。
ほかの大学から比べれば、うちの大学のキャンパスは狭い方だろう。他所の大学に行ったときにどれだけ広いものかと感じた。広すぎるあまり普通に迷った。あんまり広すぎるのも移動に時間がかかりそうだ。
(これぐらいの広さで調度よかったんかもしらんな)
北西にある古い建物。階段を上って、講義の教室へと向かう。
二限開始までにまだ少し時間がある。だがもうすでに何人か教室にいる。
俺が属しているのは人数の少ない学部だ。授業で突き合わせる顔も少ないから、大概の顔と名前は一致している。今教室にいる学生も、フルネームはわからなくともほとんど認識はできている。
「よーっす。早いな、猪上も小塔ちゃんも」
二人並んで座って話している男二人に話しかける。
「おはよう、祈ちゃん」
「なんか早く目が覚めちゃったんよ」
猪上昴と小塔聡。大学に入ってから知り合った友達。井上も小塔も大学近くのアパートに下宿している。二人は知識の幅がかなり広い。くだらない雑学で延々と話ができる変な奴らだ。簡単に言えば、無駄な知識が多い。
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