父のもとへ

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「お父さんが事故起こしたって!! 」 「え?! 大変やん!! 」 我が家は朝からパニックだった。 朝早くから車で通勤している父が事故を起こしてしまったらしい。 「じゅうたいらしいわ」 母の言葉で息が止まりそうになった。 「相手は? 相手の人は無事なん? 」 「おらんらしい。単独事故やって」 不幸中の幸いとでも言うのだろうか。 けど、母の言う事が事実なら喜んではいられない。 学校に欠席の連絡を入れて、母と共に病院へ向かう。 こんな時、バスではまどろっこしくて仕方ない。 母と相談してタクシーを使う。 タクシーを降りて、母に気を遣いながらも出来るだけの速さで病院内を駆ける。 主治医に会うや否や、説明を受けるまでもなく母はとんでもない圧で詰め寄った。 「先生! 主人は、ウチの人はどうなんでしょうか?! 」 「ええ…今処置も終わりまして、病室の方に…」 踵を返して病室へ走る。 扉を開ける間ももどかしい。 ノックもせず荒々しい動作でドアをスライドさせる。 「お父さん?! 大丈夫なん?! 」
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