10

2/10
前へ
/103ページ
次へ
「昨日、何で先に帰った?」 倉庫につくなり 後ろには壁 前には正樹さんがいて 逃げ場のない私へとそう聞いてきた。 「すみません……体調が悪くて……」 「じゃあ、何で何度連絡しても電話に出ない?昨日も今朝もずっと」 「充電が切れて」 私の 話を聞くなり 胸ポケットから スマホを取り出し操作するなり 私のポケットの中のスマホが小刻みに揺れた。 「何で俺の顔見ない?」 「別に、そんなことないです……」 そう 答えながらも 私は下を俯き 正樹さんの顔を見ないようにしていた。 今、見たら 多分、泣いてしまう気がして 今だって なんとか溢れ出そうな涙を 必死に堪えて平常心を装っているだけなのに…… 「……仕事、大丈夫なんですか?近藤さん、待ってるんじゃないんですか?」 「は?お前、何言ってんの?今はどう考えてもお前が最優先だろ。」 .
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

374人が本棚に入れています
本棚に追加