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第六場面
(セリヌンティウス、人質生活三日目)
(日没まで近い時のこと)
セリ どうしようかな刑吏さん。もしもだよ、今日の日没までにメロス来なかったら、私本当に王様に処刑されちゃうみたいなんだよねえ。
刑吏 お前だからって、まだ日没までは時間があるじゃないか。確かにお前の話を聞く限りメロスはとんでもない奴みたいだけれど、親友裏切れるほど賢くないだろう!?
セリ そうかなあ。結局、フィロなんとか君来てくれなかったし。忙しかったのかなあ。
刑吏 あいつそんな奴なら、頼れる奴だってお前しかいないんだろう、だったら信じてやるしかお前には道はないだろう?どうせお前、超ひまなんだから。
セリ そうかもなあ、そうだといいなあ。
刑吏 そうともよ。私はメロスを捕まえる方の警吏じゃなくて、処刑する方の刑吏なんだ。
(刑吏は処刑する人を指す人で、警吏は警察官吏の略で警察官のことらしい)
もし私がメロスを処刑することになっても、まあ苦しめずに処刑してやるよ。
セリ だったら助かるかもしんないなあ。もし私が死ななかったらの話なんだけどね、
刑吏 何だ?
セリ お姉さん刑吏だったら、たぶん失礼だと思うけど貰い手いないでしょ。
刑吏 何だ急に、否定はしないけど失礼だと思うならわざわざ言うな。
セリ 否定しないんだ。
刑吏 まあ。
セリ よかった。
刑吏 何が。
セリ なんか気合うし、もし私が死ななかったら結婚してくれないかと。
刑吏 お前さ、すっげえなんか木の棒に縄で縛られてるのわかってんのか、私刑吏だぞ、処刑人だぞ?お前殺される時は私が殺すんだぞ、それが私の仕事だ。
セリ 否定しないんだ。
刑吏 まあ。
セリ よかった。
(しばらくの間沈黙が続く)
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