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白衣を着た男の名前は鈴木朝陽。
俺の担当医で主人だ。それに加え、支配者(チーフ)でもある。
支配者は主人の中でも優れた力の持ち主で、勉強や記憶するのが得意。
支配者には手駒を落ち着かせ、自分に依存させる力があるが、俺には効かないらしい。……効かないというか、むしろ真逆の効果を発揮している。
こいつに対して不安や恐怖といった感情を抱くし、触れてほしくない。
でも、こいつは今みたいに1日に1回は触診に来る。その度に気絶したり倒れたりしてるけど。
鈴木「ほら、こっち来て。……早く。」
少しずつ低く力強くなっていく声が、脳内を巡る。
……あぁ、これが主人の力か。
心臟が鷲掴みにされているように感じる。
痛くて、苦しくて。
でも、主人に逆らったり傷つけたりするとそれよりももっと辛くなる。
―――でも、主人のことは嫌いで、二人っきりとか、嫌なんて言葉じゃ伝えられない気持ちで、心がいっぱいいっぱいになる。
鈴木「何、嫌?俺にも仕事あるし、時間だってないんだけど。」
そう言いながら、目の前の主人は俺の首輪に手を伸ばし、自分側に引っ張る。
「……っ」
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