第一話

3/4
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
白衣を着た男の名前は鈴木朝陽。 俺の担当医で主人だ。それに加え、支配者(チーフ)でもある。 支配者は主人の中でも優れた力の持ち主で、勉強や記憶するのが得意。 支配者には手駒を落ち着かせ、自分に依存させる力があるが、俺には効かないらしい。……効かないというか、むしろ真逆の効果を発揮している。 こいつに対して不安や恐怖といった感情を抱くし、触れてほしくない。 でも、こいつは今みたいに1日に1回は触診に来る。その度に気絶したり倒れたりしてるけど。 鈴木「ほら、こっち来て。……早く。」 少しずつ低く力強くなっていく声が、脳内を巡る。 ……あぁ、これが主人の力か。 心臟が鷲掴みにされているように感じる。 痛くて、苦しくて。 でも、主人に逆らったり傷つけたりするとそれよりももっと辛くなる。 ―――でも、主人のことは嫌いで、二人っきりとか、嫌なんて言葉じゃ伝えられない気持ちで、心がいっぱいいっぱいになる。 鈴木「何、嫌?俺にも仕事あるし、時間だってないんだけど。」 そう言いながら、目の前の主人は俺の首輪に手を伸ばし、自分側に引っ張る。 「……っ」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!