死んでしまった!

1/8
前へ
/8ページ
次へ

死んでしまった!

 僕はミゲル。  魔界という、いわゆる悪魔たちが住んでいる世界で、魔王軍の一人として戦っている。  ……待って待って、帰らないで!そんなに悪い人たちじゃないんだよ!みんな笑顔が眩しい、普通の青年って人ばかりなんだ!  みんなお揃いの軍服を着て、毎日訓練に励んでいるんだよ。  ま、まぁ、僕たちのグループは……ちょっと問題児ばかりだけど……。でも、楽しいよ!  それに、魔王様もなかなかロックな人で、誰が相手でもまずは戦って、背中を預けるに値する人だと分かれば軍に入れていく。そんな人だったんだ。  笑顔が豪快で、体も大きくて、でも優しくて。  あぁ、僕もそれくらい体が大きくて、大口を開けて笑えるような人になれたら良かったのに。  僕の体は小さいけど、魔法の力はすごいんだよ!誰も追いつけないってみんなが言ってくれてる。炎と風、同時に扱うなんてことは簡単なのに、みんなできないって言うんだ。  なら、生活魔法はどうだろう?  洗濯物をバサバサと動かして、物干し竿にかける。  落ちそうになったお皿を、割れないような力加減をした魔力で覆って、置く。  一番神経を使うのは、雑誌や本のページ、1ページ1ページをめくることかな。ちょっと間違えたら2ページめくっちゃうんだもん。  あとはトランプの整理かな。AからKまで、色ごとに揃えるんだ。  ……これ、僕が生活魔法を伝授した彼が「一番大変だった!もうやりたくない!」って言ってたやつだね。  …………うーん、やっぱりみんなとは違うんだ。  でも驕ったりはしないよ。  モフモフしっぽ。うらやましい。  何でもできる天才肌。うらやましい。  いつでも笑顔でいられる。うらやましい。  僕が持ってないもの、みんな持ってる。  それをみんなで協力して、それぞれが持ち寄ったら最強になれるんじゃないか?って思いながら、いつもみんなの側にいる。  実際そうだ。  ──僕たち『魔王軍』は、最強なんだもん!
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加