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 我々の住む世界は狭くて小さい。  色とりどりの花が生い茂った中央にはシェルターがあり、我々は"今現在"そのシェルターの中で暮らしている。 「おい! まずいぞ!!」  ジョンの叫び声で私はベッドから飛び起きた。 「どうしたの?!」 「始まるみたいだ!」 「おいマジかよ……シェルター造ってからまだ3ヶ月しか経ってないってのに」  足元の寝袋で寝ていたマーカスが不満げな声を漏らした。  低い天井からポロポロと塵が落ちてきて、私は慌ててベッドの下の防災用品が入ったバックパックを引っ張り出した。  3人分のヘルメットを取り出すと各々に手渡す。 「こっちの身にもなってくれよ」  机の下に潜りながら嘆くマーカスに向かって私は言い放った。 「落ち着いて。こうなる事を見越して準備していたんだから」  揺れが収まると我々は荷物を手にしてシェルターの外へ出た。 「なかなか快適だったのに……」 「俺だって気に入ってたんだ」  芝生の上に座り込み激しく肩を落とすジョンとマーカスを尻目に、私はバックパックのショルダーを握りしめながら呆気なく崩れていくシェルターを見つめた。 「どうせこうなると思っていたわ」  砂埃をあげながら崩壊したシェルターは地底奥深くへと姿を消し、ほんの一瞬辺りを静寂が包む。  我々は固唾を呑んで、次起こる事を待った。 「頼む……まともな家であってくれ」  ジョンが握り合わせた拳を額に押し当てながら祈ると、大きな縦揺れが起こった。  地面に伏せながら我々はじっと時を待つ。  シェルターが崩れ去った時と同じく、視界を奪うように辺り一帯に砂埃が舞い上がる。  地響きが止んでやがて視界が晴れたとき、隣で伏せていたマーカスが絶望を滲ませた声をあげた。 「or goddamn!」  目の前に現れたのは、遊園地などで見かける風船でできたバルーンハウスだった。  我々の住むこの世界は、"中谷瞳の脳内"だ。
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