怪事件とオバチャンと

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「あ~……、ゆ、床で寝ます、クッションもあるし、ブランケットをかければなんとか寝られるかと……」 しかし、モモの体のオバチャンは鼻で笑った。 『何言ってんの。 戦師は体が資本でしょうが! ちゃんとベッドの上で寝なさい』 なにこの先輩、オカンか……いや俺の母さんはこういうタイプじゃなかった。 「え、と……その、ふ、二人で寝たら狭いです……」 「えぇい、戦師たるものいつでもどこでも寝られるようにしときなさい! 仰向けでもうつ伏せでもなくて、横を向いて寝たらいいでしょうが!」 つまり、なにがなんでも二人でベッドに寝ろ、とこう仰る。 無茶な。 深夜に部屋に連れ込んだだけでも俺は後ろめたいと思っているのに……! 『……なに? あんた、彼女に手ぇ出しちゃいそうで怖いの?』 「煽りますね……」 『若人だからって、欲望ばっかり垂れ流してんじゃないよ! 明日の任務のために、ほれ、さっさと寝る!』 ここで任務とか言ってくるし。 このオバチャン先輩霊、上官だったら相当に鬼上官だったろうなぁ。 『この子の意識はあたしが表に出てる以上は浮上することはないし。 なに、あんた意識のないこの子にラッキースケベをぶちかますようなタイプじゃないでしょ』 ……ごもっとも。 オバチャンは早々に俺のベッドに横たわった。 心はオバチャンなのかもしれないが、その体は間違いなく俺の相棒のモモだということを声を大にして主張したい……! 『言っとくけど。 話の続きは明日だからね。 しばらくは……夜の間、付き合ってもらうよ?』 「いやいやいや! 続くんすか?!」 『え、そんな。 一言で終わる話でもないし。 いいの? あたしが長く表に出てると、この子の心を長時間意識の奥底に縛り付けることになるんだけど。 それってこの子にとってかなりの負担になるよ?』 「日中とかにしてもらえないんすか……っ」 『え~……この子に言うの? お前の中にオバチャン入ってるぞって。 言っちゃう? 言える? この子が寝付いてから話すほうがこの子もあんたも楽じゃない?』 言いくるめられるとかなんとも悔しいが、まったくもって彼女の言うとおりである。
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