破壊衝動

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 休みの日も学校の日も毎日休みなく一緒。目を離せば兄 雄司が弟 悠木に依存しているのか。必ず講義前に顔を出したり、講義が終わるまで待っていたり、母親の料理よりも自分の料理を食べさせたいと一品だけ弟のために作る。  何処かがだった。  寝る時も一つのベットに窮屈ながらも抱き合うように寝ており、手放さない雄司の行動に親も口を出すも“冷たい”視線に深くは触れない。  いや、触れられなかった。 「兄さん、今日友達と遊んでくる」 「どこへ?」 「〇〇駅の映画館だよ。スリラー映画観たくて」 「あぁ……それか。オレも観たいから行こうかな」  なんて、誰かと遊びに行くとなると決まって“この始末”。友達の管理、友達の監視、弟の監視と弟の安否。悠木自身は気づいておらず、嬉しそうにしているが裏腹に親は深夜帯になると夫婦揃って口を開く。 「そろそろ話すべきじゃないのか」 「無理よ……。言えるわけ無いじゃない」 「君と血は繋がってなくても俺との血は繋がっている」 「貴方、そういうことじゃないの。あの子の家庭環境と事故死と言われていたけど……警察の話が本当ならきっと毒になるわ」  親の密会をいつも雄司は息を殺して聞いていた。もちろん、たまたま喉が渇いて降りてきた悠木もその時は横におり、親の会話の場に乱入はしなかったが「兄さんって父さんの子? じゃあ、父さんと母さんは……」と動揺する様子に“”追いかけず、微かに笑みを浮かべた。
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