1人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
雄司が親と話して数時間後……。
講義を終えた悠木はカフェで検定試験の問題集を読みながらカフェラテを飲み、家に帰ることを拒んでいた。
大好きな親につかれた【ウソ】。
それが純粋な彼を苦しめ素直になれず、スマホを開く。雄司を呼ぼうと受話器のボタンを押す手前で本人から電話。嬉しくなりすぐに出るとすすり泣く声と『早く火を消せ』と騒ぐ人の声だった。
『オレが外出して帰ってきたら家が燃えてて、父さんと母さんの姿もなくて……もしかしたら、まだ家の中に……』
震え、泣き出す声に直ぐさま結木は家に向かうと警察に止められながらも親の名前を呼ぶ兄の姿に駆け寄る。「ちょっとキミ」と呼び止められるも一人の刑事が「彼は弟だ」と妨害を妨げる警察を口止めしては「坊や達、危ないから少し離れようか」とパトカーの中へ。
「兄さん、お父さんとお母さんは……」
「まだ見つかってない」
「そんな……」
「でも、オレには悠木がいるから」
手で顔を覆い、悲しみにくれる姿に釣られて悠木も泣くが刑事だけはミラーで雄司の姿を見て微かに目が笑う。
「悲しんでる所悪いが……事情を聞きたい。少し警察署によってくれるか?」
「あぁ、はい。刑事さん、オレがさっき話したのが全てなんですけど……」
「一応、弟の方も聞かないとならないしな。どこに行って、何をしていたか。証拠になるものあるか?」
雄司に振った言葉と思いきや悠木宛の言葉。想定してなかった刑事の切り出しに悠木はビクつくと「なら、悠木は今日は朝から講義で夕方は行きつけの最寄り駅にあるコーヒー屋さんで一時間ほど滞在してたんじゃないかな。防犯カメラ見れば分かるよ」と言ってもないのに全て当てる雄司。
此処で初めて今まで感じたことのない恐怖に声が出ず、とっさに体が動きパトカーから出ようとするも刑事が即座にロック。
「開けて!! 刑事さん!!」
「開けたいんだが……雄司に言ってくれ。案件貰ったのソイツなんだわ」の返事に“何かがおかしい”とハッとなる。
その姿に雄司は楽しそうに笑い手を叩くや「あーあーやっと邪魔者消えたって感じ。殺すのに時間かかったよ。壊すのにも時間がなかった。さて、悠木は今どんな気分?」と腕を掴まれ、勢いよく引き寄せられる。
最初のコメントを投稿しよう!