破壊衝動

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「雄司?」 「ん、嬉しくない? 邪魔な親が消えて自由になって。オレにもっと染まればいいのに……化粧水、衣服、食べ物から好みまで染まってくれたのに。なんで――感性は染まらないのかな。オレが悪いの? ねぇ、悠木」  抱きしめられ、唇が重なるほど近い距離に思わず胸元に手を置いて突き放す。 「なんだ、その態度……お前の兄なのに。お前は文句言わずにそのまま従ってればよかったんだよ」  背にあるドアを思いっきり殴り、顔は無表情だが怒りを声で表すや「おいおい……そんな事すると怖がられるぞ。こういう時は優しく――坊や此方向け」と刑事の優しい声に悠木は釣られ顔を向けると銃。いや、少し小さい。「チクッとするが大人しくしててな」と首筋に痛みが走り、視界がボヤけ、意識を失った。 「そのコントロール出来ない、バカみたいな感情どうにかならないのか」  薄暗い部屋に微かに響く刑事の声。 「煩い……あぁ、もう!! イライラする」 「落ち着けって……親は消したんだ。あとは好きにすればいい。殺さない程度に」 「ハァ?」 「お前はいっつもからな。離婚して狂った母親が猟奇殺人とかじゃなくて“現況”はお前だろ? 何年の付き合いだと思ってるんだ」 「子供を狙うのは臓器が小さいから握りつぶしやすい。それと、愛情注がれてるから壊せば親が悲しむ姿が好きだから。でも、大人になるにつれて満足しなくて……“恋愛”てやつで簡単に人を操れるから使ってたら、それも物足りなくてさ。で、気づいたんだ。違う意味の壊し方もあるなって」 「また始まった。お前の美学語りは嫌いじゃないが悪いがそろそろ仕事に戻る。仲良くしろよ」  革靴の音が遠退き、薄っすら悠木が目を開けると薄暗い部屋部屋だった。
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