触れ合った

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「ふふっ、ハムスターもうさぎも可愛い」 「俺このチャンネル好きで見てるんですよ。動物って見てて癒されますよね」 東雲がオススメだという動物園のYouTubeチャンネルをテレビで見ながら、二人でテーブルの上でおやき作りをした。 おかずにもならないような量の作り置きを包み込んでいく。誰でも簡単に出来る単純な作業だが、自分はもうここ何年も作り続けている為、東雲よりも綺麗に多く作っていく。 「乃愛さんの作るスピード早いです」 「もういっぱい作ってきたから。あ、激辛のやつこれにするね。いっぱいカラシ入れておく」 「ガチでやるんですね。いいですよ。苦しむ乃愛さんを目に焼き付けます」 「隼人、それはちょっと怖いって」 二人で笑いながら三十程の一口サイズのおやきを作る。ロシアンルーレットも折角ならやりたいと思ったいたが、苦しむ姿を目に焼きつける発言は如何な物か。 東雲がYouTubeを見た瞬間に宮野は激辛のおやきの裏に爪楊枝で穴を開けた。これを東雲にバレないように自分がキッチンで揚げ焼きをするのだから、苦しむのは悪いが東雲になってしまう。 「今日食べるのは十個にしておこう?大福もあるから」 「全部食べまーす」 「じゃあ辛いの引いたら終わりにしよ?お弁当のおかずにしたいから」 「良いですよ。あ、俺帰らない事母さんにLINEしておきます」 東雲の母親がどんな人なのか分からないが、こんなに明るく優しい男性を丈夫に育てたのだから素敵なお母さんなのだろうなと思った。 きんぴらや魚の煮付け、ピリ辛の野沢菜などを入れたおやき。匂いもキツくない為、今度お弁当に入れようと決めて、取り敢えず出来上がった物を少しだけ冷ましておく。 出来たては物凄く熱い為、皿に並べて冷ましている間に東雲と並んで会話を楽しもうとリビングに行った。 「乃愛さん……俺今感動してます」 「どうしたの?」 「俺とデートした時の栗鼠の置き物飾ってくれてるんですね」 「お気に入りなんだ。隼人がプレゼントしてくれたから一番目立つ所に置いたの」 東雲と会う度に五百円を頬袋に入れている貯金箱を見て、東雲は嬉しそうな顔で笑っていた。その横に宮野は擦り寄るように座ると、東雲は何故か少し驚いたような顔をしている。 何かおかしな事を言っただろうかと宮野は首を傾げると、東雲は顔を少し赤らめながら財布を取り出した。 「今日は乃愛さんに会えたから俺の五百円持たせますね」 「隼人と会う度に五百円貯めてるの」 「そんな事言われたら嬉しくて泣いちゃいますよ……これからもいっぱい会いましょうね」 「うん!」 これから自分は東雲と沢山会う事が出来る。そう思うと嬉しくて飛びつくように東雲に抱き着いてしまった。 ソファーの上で東雲に体を預けると、東雲が優しく自分の体を抱き締めてくれる。大きくて男らしい体だなと自分を包み込むように抱き締める東雲体を触った。 「胸筋……結構凄いね」 「あの、照れます……この体勢で触られるとちょっと……」 「ご、ごめん!嫌だよね!おやき持ってくる!」 東雲が若干苦しそうな顔をした為、また自分の良くない医学部としての血が騒いだなと宮野は溜め息混じりにキッチンに向かった。 すると東雲が何故かソファーの上で丸くなりながら溜め息をついている為、どうしたんだろうかと心配になる。激辛のおやきを東雲が一番手に取りやすい場所に置き、宮野はテーブルに皿を置いた。 「隼人からいいよ」 「俺絶対乃愛さんに負けません」 「自分はこの焦げているやつにする」 「じゃあ俺は手前から全部食べますね」 一つ目から外れを手に取った瞬間に思わず笑いそうになったが、何とか堪えて宮野はおやきを口に運んだ。 東雲は何の躊躇いもなく口に放り込んだ為、宮野は無言で水の入ったグラスを東雲の前に置いた。え?というような顔をした後に東雲は顔を歪めて一気に水を飲む。その姿に宮野は声を上げて笑ってしまった。 「……ふふっ、隼人早くない?」 「助けてください……乃愛さんっ…」 「んー。目に焼き付けとくね」 「酷い!」 自分はもう東雲とこんな冗談じみた事を出来るようになったのか。そう思うと嬉しくなり、激辛に耐える東雲の姿が可愛いなと少し胸がとくんと脈打った。 前々からこのとくんと云う鼓動は何なのだろう?と疑問に思っている。東雲と居る時にだけ心臓が跳ねるように脈打つ現象を不思議に思いつつも、激辛だけで終わるのはあんまりだと宮野はキッチンに行き冷凍のご飯を温めた。 「隼人全部ご飯と食べたいんだよね?」 「ありがとうございます!乃愛さんが作ったおやき食べたかったんですー!」 東雲は一つ一つのおやきに対して、相槌を打つように美味しい美味しいと喜んでくれた。こんなに自分の作った料理を喜んで貰えるなんて自分は本当に幸せ者だ。 弁当のおかずにしようと思っていたが、東雲に全部食べて貰った方がいいなと、宮野はおやきを食べながら白米を掻き込む東雲をぼんやりとした頭で見つめた。全てを食べ切った東雲は満足そうに笑っており、宮野の心も満たされる。 「めちゃくちゃ美味しかったです」 「隼人お風呂入ってきていいよ。さっき餃子揚げる前にお湯ためておいたの」 「ありがとうございます!」 寒い中自分を大学の前で待っていたのだから体の芯は冷え切っているだろうと、予め風呂を貯めておいたのだ。 新しいふかふかのバスタオルも浴室に用意しておいた為、東雲にはゆっくり体を温めて貰いたい。自分はその後に風呂に入るとして、宮野は東雲の食べ終えた皿を洗おうとすると、東雲が自分の手首を掴んだ。 「乃愛さん。お風呂一緒に入りませんか?」 「え!?」
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