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大学が終わり、七瀬の車で近くのスーパーで買い物をしてから自宅まで帰宅した。明日は医学部は休講の為、沢山作り置きを作っておきたいと思い、野菜に肉に魚にキノコ等沢山の食材を買った。
七瀬に俺にもなんか作ってと言われた為、何を作ろうかと考え思いついたのがカルボナーラだ。
東雲くんも食べるかな?と聞くと、絶対食うしなんならおかわりとか言うタイプと言われた為、パスタや生クリームやチーズなども一緒に購入した。
知っているのは名前だけの男性だが、七瀬が絶対に大丈夫だと言っている為宮野自身も自宅に入れる抵抗は無い。
七瀬が位置情報で住所を送り二人で談笑をする。緊張をしてしまいがちな自分に対して七瀬は気丈に振る舞いながら、大丈夫だと自分の頭を撫でてくれた。そうして過ごしていると自宅のチャイムの音が部屋に鳴り響いた。
玄関に向かおうとすると七瀬も一緒に来てくれたが、その方が話しやすいだろうし、心強い。軽く深呼吸をしてドアを開ける。
「お邪魔します!宮野さん、ずっと会いたいと思ってたんです!これ、お土産です!」
「初めまして、宮野乃愛です。お土産なんていらないのに」
「七瀬さんから可愛い物が好きって聞いてこの前大学の遠征の時に見つけて買ったんですよ!宮野さんが気に入ってくれたら嬉しいです」
バスケをやっているだけあって背が高く、筋肉が程よくついていて顔も一言で言うとイケメンだ。雰囲気も柔らかく自分と目線を合わせるように笑顔で屈んでくれて、裏表が無さそうな好印象を受ける。無造作にセットされた黒髪と骨格のいい男らしい顔をしている東雲を、きっと女性は放っておかないだろうと思う。
綺麗な顔をしている蘭や七瀬とはまた違ったタイプの正統派な男前の東雲に、あまり人を見かけで判断しない自分ですら格好いい人だなと若干惚れ惚れしてしまった。
渡された紙袋にはまん丸のキラキラした何かが入っている。ほのかに良い匂いがしたのと、紙袋に書いてある店名でテレビで特集を組まれていたと思い出した。
「これ、石鹸だよね?たしかぷにぷにしてて、保湿もしてくれるって」
「そうです。可愛いの基準が宮野さんと同じか分からないですけど、俺は可愛いと思いました。」
「ありがとう。実はネットで買おうか悩んでたんだ。実物見てないから悩んでたけど、まさかプレゼントされるって思ってもいなかったから凄く嬉しい!」
「え!本当ですか?七瀬さん俺のセンスやっぱ間違って無かったですよ?」
「こういう時ってガチの土産渡すのか?って言っただけで否定はしてないだろ」
確かにこういう時の手土産はクッキーやチョコレート等のお菓子が定番だが、まだ会ったこと無いどころか何も知らない自分の好きそうなものを買ってきてくれた事に感動する。流石自分をよく理解している七瀬が紹介したいと言っていただけある男性だと思った。
丁度固形石鹸が無くなりそうだと思っていた為そこに置こうと思いながら、手にしていると七瀬に良かったなと笑顔で言われる。いつまでも玄関先では仕方ないと思い、部屋に案内すると東雲は目を輝かせた。
「なんですかこの素敵空間!?」
「うるっせえ。声でかい」
「あ、ごめんなさい。めちゃくちゃオシャレで…家具とか雑貨とかも可愛いですし」
「ありがとう。全部お気に入りなんだ」
宮野のこだわりが詰まった部屋を、小さな子供のように見て回る東雲に笑ってしまった。ポジティブで馬鹿だと七瀬は言っていたが、まだ出会って間もないがその意味が少し分かった気がする。
「部屋もですけど、宮野さんマジで可愛いです。写真で見た時こんな可愛い人居るんだって思って…早く会いたくて仕方なくて」
「褒めすぎじゃない?女の子沢山居るでしょ?」
「それが俺の通ってる体育大学は、むさ苦しい男ばかりで……宮野さんが今の俺的にトップで可愛いです」
満面の笑みで可愛いと言われ、普段可愛いと言われても何とも思わないが少し照れてしまった。あまりにも純粋で真っ直ぐな言葉に若干戸惑ってしまう。そんな自分と東雲とのやり取りを七瀬は横目で見守っていた。
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