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「おはーっす」
あるクラスメイトの男子の挨拶する声が耳に入ってくると私は一瞬ピクッと反応した。
桐野 直人、二学期からクラスに転入してきた男子だ。関西混じりの気さくな話し方とコミュ力抜群の明るい性格ですぐにクラスの中心人物になった。
おまけに他の女子達がいうにはイケメンの部類に入るらしい。まぁ顔だけ見ればかっこいいかなとは思うが、私は彼に苦手意識を持っているため、ほとんど話をした事はない。
何故ほとんど会話した事ない彼に苦手意識を持っているのか……そんなの分かるはずないしどうでもいい。
ちらっと彼に視線を送り、気づかれないようすぐに視線を外した。
「おーい相田」
授業が終わり先生に声をかけられた。多分アレだろう。予想はつくが「はい」と返事して席から立ち上がり先生の元へ行く。
「悪いが授業で使ったこの教材を準備室へ持っていってくれないか? 急ぎで職員室へ戻らないといけないんだ」
「分かりました」
私の返事を聞くと先生は急ぎ足で職員室へ向かった。
いつもそうだ。こんなの日直やその辺にいる男子達に頼めばいいのに、私にばっかり雑用をさせる。
ただ私が真面目だというだけで勝手に優等生扱いしていらぬ雑用を押し付けて、内心イライラしながら両手いっぱいに教材を抱えて教室を出た。
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