たまには伸びてもええんちゃう?

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 「相田さん、ちょい待ち」  呼ばれた事に反応して、条件反射的に立ち止まった。後ろを振り返ると苦手な彼が私を追いかけてきていた。 「……何?」  笑顔の彼とは真逆の無愛想な表情な私。用があるならさっさと言ってほしいんだけど。 「それ、俺持つよ」  私が抱えている教材を指差しながらニッコリしている。 「別に一人で大丈夫よ」 「そう言わんと頼ってぇな」  断ってもニッコリ爽やかさだけがダダ漏れするだけで引き下がる気配はない。時間の無駄と判断して教材を半分渡して準備室へと歩き出す。 「先生も暇そうにしているその辺の男子に頼めばええのに、何で女子に頼むんやろ。まぁ相田さん真面目やし頼み事しやすいんやろな」  真面目というワードへ反応して一瞬ピキッとなったけど、ずっと話し続ける彼をスルーしてまっすぐ前を向いて歩いた。 「この辺に置いとけばええんかな」  準備室へ着き教材を置くと、足早に準備室から出ようとした。でも私がお願いしたわけじゃないとはいえ、一言お礼を言っといた方がいいかもと思い立ち止まった。 「あの、手伝ってくれてありがとう」 「いえいえ。相田さん真面目やしまた頼み事されるかもしれへんから、その時は……」  またでた『真面目』ワード。溜まっていたイライラを抑えきれなくなって、私は彼の話を遮った。
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