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「真面目って何?」
「え?」
私の苛立った態度に流石の彼もキョトンとなっている。でもそんなのお構いなし、私は苛立ちをぶつけた。
「さっきから真面目真面目って何なの? 私はただやらなきゃいけない事をきちんとしているだけじゃない。何でそれだけで真面目とか優等生とか言われなきゃいけないの! 私だって本当は……」
久しぶりに自分の感情をコントロール出来なくなり、ポロポロと出したくもない涙が溢れてきた。そんな私の姿に彼は困惑してあたふたし始めている。
「えーっと、うーんと……分かった。相田さん、一回大きく深呼吸してみよ」
「は?」
そう言うと彼は自分で大きく深呼吸をした。何で今深呼吸? 訳が分からず今度は私がキョトンとなる。
「相田さんの事さ、何で真面目な人って思ったのか考えたんやけど、やらなきゃいけない事をずっとやってるイメージがあるからかなって」
「それだけで?」
「真面目って思われて相田さんは嬉しくないかもやけど、俺はただ凄いなって思ってて……俺の発言で不快にさせたならごめん、謝る」
「別に桐野君が悪いわけじゃないし、なんか日頃からの鬱憤がちょっと出ただけだから逆にごめんなさい」
感情のコントロールができなくなった事が恥ずかしくなって私も頭を下げた。
そして思った。なぜ私は彼に対して苦手意識を持っているのか。
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