中間雄輔

16/20
23人が本棚に入れています
本棚に追加
/93ページ
 その日を境に山下は他の生徒と関わらなくなった。今関係性を作ってもすぐ転校するし、意味もないと中学生の山下は思っていたからだった。  それでも、中間は山下に普通に話しかけていた。山下の様子が変なのは気づいていたが、余計なことは詮索しないようにしていたのだった。  7月。1学期も終わろうとしていた頃。いつものように中間が山下の席の前の机に座っていた。自分と話す時はいつも明るく返事をしていたので、中間は思い切って聞いてみた。  「お前さ、なんか最近変じゃない?」  ドキッとした。涙が出てきた。山下は、悟られないように俯いたが隠せないくらい感情が高まっていた。  「え、ごめん!なんか、変なこといったか俺?」  中間は立ち上がって山下に近づいて表情を伺った。  「ちが……ぐすっ…。違うんだよ。これは僕がダメなせいなの。」  中間に謝られると余計に悲しみが加速して、涙が止まらなかった。しくしく泣いている横で、中間は黙って座っていた。暫くすると、山下の涙も止まってきていた。  「何があったの?誰かになんか言われたのか?なんかあったら俺が協力するから、言ってくれな?」  中間はそういって山下の顔を覗き込んだ。山下もうんと返事して実は…と続けた。
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!