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お互い笑いながらじゃれあっていた、その時
〜♪
太田幸三から栄二の携帯に着信が来た。太田からの着信を見た瞬間、栄二は顔をしかめた。直後、電話を取らずこたつの上に携帯を置いた。太田は栄二や窪田と同じクラスだったが、乱暴者で窪田をからかって泣かしたこともあった。
「栄ちゃん電話取らないの?誰からなん?」
「え?幸三だけど… いいよ取らなくて」
窪田は栄二が自分に気を使っていることを察して、こたつの上の携帯の通話ボタンを押して、栄二にハイっと渡した。栄二は一瞬嫌な顔をしたが、仕方なく応対した。
しばらくの間、部屋には栄二の頷きの声とかすかに聞こえる太田の声しか聞こえなくなっていた。窪田はなんとなく淋しくなり、こたつから顔を出して栄二の腹に頭を置いた。
窪田は栄ちゃんのお腹気持ちいい〜と言いながら栄二の様子を見ていたが、反応はなかった。少し栄二の方を見上げてみるとうん、うんと相槌を打っている姿が見られた。顎には薄っすらと髭が生えていた。
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