裕貴と央輔

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裕貴と央輔

 双子っていうのは珍しいもんで、俺はこれまで全く出会ったことがなかった。もちろん街を歩いている際に見かけることなどはあったけどね。まぁ、出会わなくても全然支障はないけどさ。  で、これは俺が初めて双子に出会った時の話。え?面白くなさそうだと思った?そう、全然面白くないと思うけど、よかったら聞いていってよ。  母親の職場の同僚の息子が高校受験だから、家庭教師を探しているらしかったのだが、あんまり知らない人を家にあげたくないとのこと。  そこで大学生の俺に白羽の矢が立ったという感じ。他人の家にあがるっていうのは、まぁ少しイヤだったんだけど、その同僚のおばさんとも顔見知りだったし、時給も悪くなかったし、引き受けることにした。ちょうどアルバイトも探してたしね。  初めておばさんのお家に上がり、通された部屋には机が2つあったんだよね。あれ?おかしいなって思ってたら、他方からこんにちは先生って声が聞こえたんだ。そんで、その時に出会ったのが裕貴と央輔。
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