裕貴と央輔

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 また別の日、俺はおばさんの家に予定より前に到着したので、早めに始めようとしたんだけど、部屋には裕貴しかいなかった。  央輔はまだ帰ってきていないらしい。ま、仕方ない。30分ほど早かったし、俺は裕貴に漫画を見せてもらい時間をつぶしていた。  ねぇ、先生あのさと裕貴が話しかけてきた。また、部活や学校のくだらない話だろうと思って聞き流そうと、目の前の漫画に集中していた。  「俺にも電気あんまかけてほしい!」  俺は吹きそうになり、漫画を閉じて裕貴を見た。裕貴はもじもじしながら続けた。  「だっていつも央輔ばっかりされてさ、俺には全然してくれないんだもん。いつも央輔がかけられてるの見てるとさ、顔が赤くなってて熱くなってるからどんなもんなのかと思ってさ。央輔に聞いても何にも答えてくれないし」    こいつバカか…と思ったが、思春期なんてそんなもんかとも思い直した。とはいえ、電気あんまをかけてほしいなんて。  俺は目の前の子供がちょっと可愛らしく思えてきた。バカバカしいと思いつつ、俺は裕貴の要望に答えることにした。
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