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中間雄輔
皇徳寺、5月。山下祐介は転校してきた。朝の会にて、教室の前で紹介された山下の顔は緊張で強張っていた。
「なんか変なの来たね」
「うん、暗そうだし、鈍臭そう」
挨拶の声が小さかったからか、転校初日から散々な言われような山下。他の生徒より少し太っていたことも、その理由になってるのかもしれない。
教室の端の席では、中間が日を浴びながらうたた寝をしていた。朝の会で〇〇ゆうすけと、自分と同じ名前が聞こえた為、パッと目覚めたがまたすぐ寝始めた。
中間と正反対の位置に山下の座席があった。山下は自分の席についてもまだドキドキしており、他の人に話しかけることもできないでいた。
昼休みになり、中間はクラスの男子たちと一緒にサッカーしに校庭に出ていっていた。山下はそんな男子たちの輪に入れず、ただ窓際の席で空を見ていた。
中間にとっても、ゆうすけと言うワードは耳に残ったものの、特に2人は顔を合わすこともなく話すこともなかった。
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