中間雄輔

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 それから、数週間くらいたったが山下は他のクラスメイトと馴染めずにいた。休み時間は自分の席でうつ伏せになって寝ていた。転校してきた時期が5月で、ある程度グループ分けがされてしまっていたのも悪かったのかもしれない。  さて、体育の時間だ。山下はこの時間が憂鬱で仕方なかった。以前、国語の授業が体育に変わった際、クラスの男子たちはイエーイと喜んでいたが、山下1人顔色が変わっていた。  体育教師はそんな山下の憂鬱さに気づくはずもなく、生徒たちに2人組みを作って、ストレッチをするように呼びかけていた。  はぁ、もうホントにやだ。僕なんかと2人組みになってくれる人はいないだろうし、余った人が相手になるんだろうけど、その人にめちゃくちゃ申し訳ないなぁ。  山下達はもう中学生のため、直接嫌なことを言う人はいなかったが、ひそひそと自分のことを悪く言われてることは知っていた。そんなとき、山下に声をかけてきた男子がいた。  「俺と一緒にやろっか?」  中間雄介だった。中間は人一倍正義感が強く、あまり他人と群れないタイプだったため、余りそうな山下を見つけ、声をかけたのだった。
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