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それからしばらくして、山下は少しずつクラスに慣れてきた様子だった。体育の一件があってから、中間は普通に話しかけてくれるし、他のクラスメイトも中間を介して話すうちに、打ち解けられるようになっていた。クラスメイトからひそひそ陰口を叩かれることも無くなった。
しかし、山下本人はと言うと、そんなことはもう既に気にしておらず、朝起きてから布団に入って寝るまで中間のことばかり考えていた。
授業中は勉強そっちのけでちらちらと中間の横顔を見ていたし、昼休みは、窓際で空を見るフリをしてサッカーボールを追いかける姿を眺めていた。
中間くんをもっと見ていたい…
もっと会話したい…
もっと仲良くなりたい…
中間くんに触りたい…
教室では、はぁとため息をつきながら授業を受けている山下の席の対照に、真面目にペンを動かしている中間の席が配置されている。
中間は、山下が自分にそのような想いを抱いているとは露知らず、山下と目が合ったら笑顔で挨返したし、特に用事がなくても山下の席に話しにいくこともあった。
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