中間雄輔

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 触りたいという願いは、意外な形でかなうこととなった。  小雨が降り、学校中の空気が湿っていた日の午後、山下は家庭科の授業を受けていた。  家庭科の先生は、なにやら丸いものをつまんで生徒たちに見せ、ミシンの中に差しこんだ。丸いものはボビンという物らしかったが、山下も中間も、おそらく他の生徒達もよくわからなかった。    これからミシンの説明をするからみんな前に出てきてください、と先生がいうと、クラス全員が教室の前の方、ミシンがあるテーブルの近くに集まった。  つまんないなぁと思いながら、後ろの方に位置取った山下は、すぐ斜め前に中間がいることに気づいた。中間含め、何人かの男子は昼休みに制服を汚してしまったのか、体操着に着替えていた。  中間くんが短パン履いてる!ズボンから出ている肌、触りたい。触りたい。触りたい。  目を凝らして下の方をよく見てみると、中間のぶかぶかの短パンから、ボクサーショーツが一瞬だけ見えた。もはや先生の授業なんて山下には聞こえていない。  ここから山下の心の葛藤が始まった。中間の肌、しかも内ももを触れることなんて、このチャンスを逃したら絶対来ない。でも、周りにみんないるから、誰かに見つかったり中間くんが大声を出したらもう居場所がなくなる。どうしようか。
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